近年ではマウスピース型矯正装置の普及率が上がっていますが、マウスピース単独で全ての症例を完璧に治療することは限界があり一定数の割合で従来型のワイヤー矯正装置の併用が必要になってきます。これをリカバリーワイヤーいいます。どのようなときにリカバリーワイヤーが有効なのか、その時期も含めて詳しく解説させていただきます。
リカバリーワイヤーが必要になる3つのパターン
【1】奥歯が前方へ傾斜→小臼歯という前から数えて4,5番目の歯を抜歯し隙間を閉じる際に、奥歯がマウスピースの隙間を閉じる力に耐えきれず前方へ倒れてくるケース
【2】歯の面積が少ない→歯茎から生えている歯の面積が少なければ少ないほどマウスピースがぷかぷか浮いてしまうケース
【3】奥歯の捻じれ→元々小臼歯が90°近く回転しているケース
リカバリーワイヤーの使用時期・使用方法
【使用時期】マウスピース→リカバリーワイヤー=ワイヤー矯正装置(およそ半年程度)→マウスピースに戻る(再度歯のスキャンを撮ってから新たにマウスピースを作ります)
【使用方法】主にセクショナルワイヤーといって部分的に奥歯にブラケットを装着し、ワイヤーを使用しながら歯を並べていきます。
リカバリーワイヤー装着後のマウスピースの調整方法
ワイヤー矯正装置を装着しますとマウスピースが入らなくなりますので必ずマウスピースの調整が必要になります。調整方法は2つあります。
1つ目は全てのマウスピースを医院に持って来ていただき、ブラケット装着部分をぶつからないようにボタンカットする方法です。
2つ目は患者様がご自宅でマウスピースをはめる際にハサミで切ってもらう方法です。実際は後者の割合の方が高くなります。
ワイヤー矯正・マウスピース矯正の併用により得られること
ワイヤー矯正装置・マウスピース型矯正装置を併用することで得られることは、本来の目立たないマウスピースのよさとリカバリーワイヤーを使用することで両者の相乗効果が期待できるため、効率的に歯を動かすことができます。
また前述通りリカバリーワイヤーは基本的に奥歯の数ヶ所しか装着しないため虫歯のリスクも高まることはないでしょう。
(必ず歯の定期検診は行って下さい。)マウスピース型矯正単独で治療を希望されている方は今後の参考にしてみるとよいでしょう。